夫です。
今回から数回にわたり、前戯について私の考える所を書かせていただきます。第1回は、前戯の具体的なテクニックというより、その方向性や捉え方について書かせていただきます。
前戯というのはセックスにおける最も重要な部分であると言っても過言ではないと思います。ここで躓いてしまうと、その先にある挿入、絶頂も質の低いものとなり、時にはセックス自体を苦痛に感じる原因にもなるからです。
特に長く付き合う夫婦においては、見た目や雰囲気などによって得られる興奮度が、時間がたつにつれて低くなっていきます。そのため、前戯によってしっかりとお互いの興奮度を高めた上で挿入に移行するのが重要です。
もくじ
前戯のテクニックとは?
最初に申し上げたいのは前戯におけるウルトラCというものは存在しないということです。
私に限らず男性の皆さんは、若い頃に
「女性にはクリトリスというものがあってそこを触ると気持ちいいらしい」
「膣内にはGスポットというものがあり、ここを触れば女性はイッてしまうらしい」
などの知識を得て「なるほどこれが前戯のテクニックか」と思う経験があるかと思います。
勿論そういった知識も大切なのですが、ここを触れば気持ちよくなるんだ、イケるんだという単純なものではないということです。前戯とは、もっとコツコツしたものの積み重ねによって素晴らしいものになっていきます。
前戯における最も大切なこと
男女問わず、前戯において私が最も大切だと考えていることは
相手の興奮状態に合わせた適切な前戯をすること
です。
男性の場合、セックスの始めたての頃は、アダルトビデオなどで見たように激しく前戯をすると相手の女性が痛がってしまったというような経験があると思います。これは触っている場所や力加減、触り方が相手の興奮度と合っていないことが原因です。
逆に女性の場合は、前戯をする前に男性がある程度興奮しており、適当な前戯を行っても相手が気持ち良くなってくれるため、あまり前戯について考察されない傾向にあると思います。
夫婦間でセックスを続けていると、胸やお尻を見ることで得られる男性の興奮度が徐々に低くなり、女性側の前戯のテクニックが向上しないと、男性側が物足らなく感じるようになってきます。
男女ともに、相手の興奮度が低い時の適切な前戯が特に大切です。お互いの前戯テクニックの向上はセックスレスの解消にも繋がると思います。
興奮度に合わせた前戯について簡単な表にすると以下のようになります。
興奮度 低 | 興奮度 高 | |
①触り方 | こする | 押す |
②触る速さ | ゆっくり | 速く |
③触る強さ | 弱く | 強く |
④触る場所 | 準性感帯 | 性感帯 |
興奮度をいかにしてはかるのか?
相手の興奮度に合わせて前戯方法を変えるということは、相手の興奮度を推しはかれるようにならなければなりません。興奮度のはかり方を一言でいうと「相手の身体がどの程度弾力性に富んだ硬さになっているか」ということになります。
弾力性に富んだ硬さとは?
硬さ、と書いていますが、プルンプルンとしたグミのような、またはゼラチンのような弾力性を含んだ硬さと解釈して下さい。男性はペニスの亀頭部分の、女性はクリトリスの、それぞれとても興奮して勃起している時の硬さを想像していただければ良いと思います。
腕にギュっと力を入れると筋肉が収縮し、中に何かがつまった弾力性のない硬さになりますが、これとは全く別の硬さです。また、普段のお尻や乳房のようなふにゃふにゃとした硬さとも異なります。
興奮状態が高まっていくと全身が膨張し弾力性に富んだ硬さになっていくのですが、あまり想像できない方もいらっしゃると思いますので自分の身体を使って実感してみましょう。
自分の身体のくすぐったい部分をそっとなでるなどして鳥肌をたててみて下さい。就寝前の布団の中などで、リラックスした状態で行うのが一番良いと思います。
鳥肌がたつとその部分が盛り上がって、少し弾力性の富んだ硬さになると思います。しかし、鳥肌がおさまると硬さもすぐに元に戻りますね。弾力性の富んだ硬さになる ⇒ 元に戻る ⇒ 弾力性の富んだ硬さになる、を性的興奮を伴って繰り返していると、この弾力性に富んだ硬さが全身を覆い持続している状態になります。
自分自身の刺激だけで「全身が弾力性に富んだ硬さになり持続している状態」までもっていくことは難しいですが、これが全身が興奮した状態です。
弾力性に富んだ硬さと興奮状態
興奮状態が高まっていくと、全身が膨張し弾力性のとんだ硬さになっていきますので、その点に注目して興奮状態をはかります。しかし、ペニスや乳首、クリトリスなどは外部からの刺激に敏感で比較的簡単に硬くなり、また簡単に元に戻るため、興奮状態をはかるのに適しているとは言えません。最も適しているのは「乳房の外側」「太ももの外側」「腰からお尻にかけて」の部分であると思います。
具体的に書きますと、「乳房の外側」「太ももの外側」「腰からお尻にかけて」の部分をそっと撫でるように触った場合
鳥肌がたち弾力性に富んだ硬さがある程度の時間持続する。
⇒ 興奮状態:中~高
鳥肌がたち弾力性に富んだ硬さが出るもののすぐに収まる。
⇒ 興奮状態:低~中
鳥肌がたちもしないし、弾力性に富んだ硬さにもならない。
⇒ 興奮状態:低
なお、鳥肌がたたず、弾力性に富んだ硬さになるケースもあります。鳥肌は寒さや不快感などによって引き起こされる場合もありますので、興奮状態をはかる絶対的な指標ではありません。弾力性に富んだ硬さに注目して下さい。
私は前戯のはじまりの段階で妻の身体をさわると、その日妻がどの程度の興奮状態にあるのか、ということがだいたいわかります。仕事で疲れているような日は、触っても肌に弾力性がなくふにゃふにゃとした状態です。このような場合は前戯もスローペースで行い、時には疲れている部分をマッサージするようにしながら前戯を進めていきます。
逆に前回のセックスから日にちが空いてしまい、かつ妻が休息を十分取れているようなケースは、前戯のはじまりの段階で妻の身体が、既に弾力性の富んだ硬さを帯びています。このような場合は、いつもより若干ペースをあげて前戯を行います。
常に「ゆっくり、優しく」が良いわけではない
女性に対してはゆっくり、優しく前戯をすることがとても重要だというようなテクニック解説をよく目にしますが、これはある意味では正しくないと私は考えています。男性に比べ女性の方が興奮状態になるまで時間がかかること、男性が力任せに前戯を行ってしまうというケースが多いことから、ゆっくり、優しく前戯するということが多くの場合に正しいということなのだと思います。
例えば、前戯開始前の段階で何らかの要因により全身興奮状態になっているのであれば、ゆっくり優しい前戯などは不要で、前戯もそこそこにすぐに挿入に移ってしまってもいいのだと思います。
既に十分な興奮状態になっているにもかかわらず、ゆっくり、優しく前戯するということは「じらす」というテクニックともいえますが、やりすぎるともどかしさがイライラに変わることもあります。これが相手の興奮状態に合わせた適切な前戯が必要だと考える理由です。
なお、私は前戯を「パートナーの身体を弾力性の富んだ硬さにする=全身興奮状態にする」ということを目指して行っています。イきそうな状態にする、ということはあまり重要ではありません。むしろ相手がイきそうな状態だと、その後の挿入から絶頂までが短くなってしまう可能性があるので逆に良くないかもしれません。
このように相手の興奮度にあわせて前戯の方法を変えるということは重要なテクニックです。ここに書いている内容は男女ともにあてはまると思います。
次回以降は、興奮状態に合わせた具体的な前戯の手法について書かせていただきます。