日本で選択できる避妊方法 (3) 低用量ピルの飲み方

書いた人: 妻

第一回「日本で選択できる避妊方法 (1)
前 回「日本で選択できる避妊方法 (2) 低用量ピルのこと

 

 こんばんは、瑞谷です

 前回は「日本で選択できる避妊方法 (2) 低用量ピル」では、概要を説明しました。
 今回は、実際の飲み方、飲み忘れた時の可能な限り慎重な対応について、そして大事な副作用について、書いていきたいと思います。

 すべての情報はrurikoさんの「ピルとのつきあい方」に掲載されています。
 このブログではさらに「グラフィカルにより分かりやすく」「感覚的に把握しやすい」情報掲載を目指しています。

 

 定番の逃げ口上ですけれども、瑞谷は医療関係者でもなんでもない、「よく勉強したピルユーザー」程度の人間ですので、勘違い、間違いにはご容赦ください。
 記述の仕方が下手で、実は間違っていてという場合の不利益については、私瑞谷は一切の責任を負いません事、ご了承ください。

 そんなよく勉強したピルユーザー程度の人間ですけれども、もし服用中のお悩み・疑問等ありましたら、コメント欄またはメールフォームにお書き下されば、私にわかる範囲でお答えさせて頂きます。
 どうぞお気軽に書き込み下さいね。

ピルが飲める人

 生理があって、妊娠していない、基本的に健康、最近手術とかしていない、重度の喫煙者ではない人が服用できます。

 ピルは一定の疾患(血栓症になったことのある人や、血縁に血栓関係の病気になったことがある人、重い肝機能障害、ものすごく高血圧、等々)を持つ人、素因を持つ可能性がある人は飲むことができません。特に持病を認識していない人は問題ないと思われます。

 また、抗リン脂質抗体症候群の人は元々血栓ができやすい為服用することができません。自身がそうであると知らない場合も多く(タレントの間下このみさんは妊娠後発覚したという話もあります)、また事前に検査でわかります。
 服用前に内科や婦人科などで検査されることをお勧めします。

注意した方がいい人

・35歳以上の人(初めてであれば止めた方がよい)
・喫煙者
・肥満の人
・血圧が高めの人
・その他軽度の疾患をお持ちの方(種類によります)

副作用について

 ピルは薬なので、副作用が存在します。特に有名なのが「血栓症」ですが、それ以外にも発症リスクの上がる病気は存在します。

 どれも血栓症ほど「劇的に増えて沢山発症する」というわけではありません。因果関係が不明瞭なものもあります(ピルが原因と断定できない)。
 だからと言って安易に「自分は大丈夫」と思わず、具体的に知り、予兆を見逃さない対策が必要です。

マイナートラブル

 ピルの飲み始めには皆さん大なり小なりの変化が現れます。

・少し気持ちが悪い ・イライラする ・おっぱいが張っているような? ・なにかダルい感じ……

 これは普段のホルモンバランスから少し変化させる為に、身体がムズムズしているような状態になる為です。時間が経てば不快感は無くなります。

 私が飲み始めたのはもう20年も前ですが、最初の一錠を飲んだ時の記憶は割とはっきりしています。
 数時間後、なんだかモヤモヤするような、気持ちが悪いような……いえ、悪いとまでは言えない感覚でした。別に我慢できる、我慢という程度でもないくらい。

 夜、9時頃に飲んだかと思います。その後に眠るわけですから、眠ってしまえばもう気になりませんでした。翌朝になれば、特に何も変化を感じず「ふつう」になっていたと記憶しています。

当時はストレートな小さい液晶の携帯電話だったよ

 2~3シート服用を継続して、それでも不快感がなくならない場合には種類を変えた方がいいでしょう。ピルには絶対的な「相性」というものが存在します。

 ただし、激しい頭痛があり、市販の痛み止めを飲んでも効かない……という場合には、初期の血栓症の可能性があります。中止して、循環器科を受診して下さい。

血栓症

 ピルを服用すると、種類にもよりますが服用していない人と比べて約3倍程度に発症率が上がります。
 血栓症にも部位により種類がありますが、大雑把に言うと静脈血栓症は年間1万人に1〜5人程度の発症率、ピルを飲むと2~3倍の3〜9人程度になるそうです。

 また、妊娠すると更にその数倍になると考えられています。(参照するデータにより変わる)
 つまりピルとは「妊娠の状態を予防するもの」であるからこそ、メリットがリスクを上回るのです。
 「避妊を目的にしない人」が混合ピルを服用する場合には、相対的には妊娠の可能性が無いにも関わらずただデメリットを享受することになります。

 それは決して「避妊目的に飲む人の方が発症率が低くなる」という意味ではありません。
 生理が重い・月経困難症だという人が、それだけの為にリスクに曝される状態を招くということを軽視してはいけません。「だったら生理が重い人はどうすればいいんだ」と思われるでしょうが、そのあたり日本は複雑な事情を抱えています。
→「「治療薬」としての低用量ピル
→「ミニピルのこと

※実際には妊婦は欧米だとピルユーザーの4倍程度リスクが高くなると考えられているようです

 また、飲み始め数ヶ月が最も血栓症リスクが高く、服用継続で一定の所まで低下します。
 ですので、飲んで一旦止めてまた飲んで……と再開中止を繰り返すような飲み方は、とてもリスクの高い服用方法になりますので、絶対にしてはいけません。

 元々日本人は(食生活の影響により?)血栓症発症が少ない民族のようですので、発症数としてはもっと少ない値でしたが、近年この発症率が上がっているようです。

 そもそも「飲まなければ発症しない」ではないのですから、普段から「血栓症の予兆」を知り、早期に気付くことが大切です。知識は命を助けます。

緊急に受診が必要な症状一覧 (ピルとのつきあい方より引用)

1) 息を吸う時により痛い鋭い胸の痛み
2) 息切れ
3) 吐血
4) 痛みを伴う足の腫れ
5) 足や手の脱力・無感覚または針で刺すような痛み
6) 激しい腹痛
7) 失神・卒倒
8) 普段より激しい頭痛・片頭痛
9) 突然の舌のもつれや視力障害(特に片目のかすみ)
10) 黄疸(皮膚や目)

 基本的には循環器科を受診、ピルの服用と血栓症の疑いを伝えましょう。早くに受診できそうにないならその他の科目へ。目については眼科へ。

 ピルを飲む人もそうでない人も、日常的に
・ずっと同じ姿勢でいない
・適度な運動と水分補給
 という点に気を付けて生活しましょう。

その他の疾患リスク

 一部のガンはリスクが上がり、一部のガンは下がる……みたいな感じだったりで、トントンと見られる部分もあります。しかし例えば、卵巣がんの発症が少し下がるということを「ピルのメリットだから飲んだ方が良い」と説明するのは、メリットと言えるほどの優位性がないものを「良い」とする詐欺のようなものです。

 もちろんノーリスクの薬剤など存在しません。
 メリットがあり、リスクがあり、それらを天秤に掛けた時にどうするか? という問題だと思います。誰も「絶対的に良いもので信頼できるから皆飲むべき」ということは言っていないのです。私ももちろん言いません。「推奨派」ではないのです。

 それぞれの判断は個々がするべきだと思います、このブログは個人のブログであって医療関係ではありませんので、これ以上の情報については「ご自身でお調べになって下さい」として締めたいと思います。

→ピルとのつきあい方内:避妊薬ピルの副作用と副効果

リスクはもちろんあるけれど……

 「ピルは怖いものだから」と、パートナーにピルを禁止する男性は何度も見掛けました。
 もしその男性が、自分とのセックスでパートナーを妊娠させ、そして状況的な理由により堕胎を選んだ場合……どちらの方が、リスクの高い選択だったと言えるのでしょうか。
 そもそも「パートナーとの避妊方法の選択」についてを、どうして男性の一存だけで決められるのでしょうか。

コンドームと緊急避妊薬の組み合わせで解決できることもあるけど…一緒に勉強してほしいよね

 →いい大人のための性教育 (4) お姫様はもういない

初めてさんの飲み始め

 低用量ピルがまったく初めて!という方は、「月経の初日」から飲みます。
 それ以外の日から飲むこともできますが、基本的には月経初日に合わせる方が良いでしょう。
 (ヤーズは超低用量で抑える力が弱い為、必ず初日から飲みます)

 初日とは「経血が出始めてから24時間以内」です。
 万が一「寝てる間に来てたみたいで何時かわからない」という場合には、布団に入った時間を開始時間とすれば24時間を過ぎることはありません。

 月経開始から次の卵胞の発育が始まりますが、月経初日に低用量ピルを服用することで、卵胞を押さえこむことができます。その後継続して服用することが約束されていれば、月経初日から避妊効果が得られます。

初めてさんの次の出血は少し重くなる傾向にある

 人にもよりますが、初回初日服用の影響で、1シート目の休薬(偽薬)中の出血は、平時の生理の時よりも重くなる場合が多いです。実際に月経軽減を体感するのはさらに次の生理からと考えて下さい。

 またそれを懸念して「生理3日目~5日目に服用してね」と説明される先生もいらっしゃいます。出血を見送って内膜を排出させてから服用をする方が、翌回の出血が軽くなる傾向にある為です。
 しかし、まだ明確になっていない部分も多いですが、内因のエストロゲンに対してを懸念してここは前述通りできるだけ初日服用をお勧めします。

 また、服用開始から3~4シートが経過しても軽減が見られない場合には他の種類に変更を検討してみて下さい。相性によってはあまり変化が見られない場合もあります。

毎日の飲み方・飲み忘れ対策

 一日1錠を、定時に飲みます。基本的にはそれだけなんですが、その「定時に飲む」というのは、これが意外と難しいものです。

・飲み会があった! (露骨に薬を出したくない…、または忘れた)
・外泊しちゃって持ってきてなかった! (予備の用意があれば…)
・疲れて寝てた…… (12時間も寝過ごす人はまあいないかな)
・ケータイの電池が切れててアラームが鳴らなかった (もうひとつ警告手段があった方が?)
・日常的になり過ぎて無意識にアラームを止めたままになっていた (ベテランあるある)

 ベテランの皆さんは各自色々な工夫をされていると思いますので、先人の知恵から自分に合った対策を見つけられるといいと思います。

 

 瑞谷はこれを書いている時点で20年程のピルユーザー歴になりますが、極端な飲み忘れは覚えている限りなく、これまでに妊娠したことはありません。

 私達が取っている対策は……

・私と夫の携帯電話のアラームを30分差で設定している

・二人が離れている時でも必ずメールで「飲んだ?」「飲んだ」を報告し合う

・家ではリビング代わりのPC前に座っていることが多いので、PCにも同時刻のアラームを設定している(最近はPCをやめてamazonエコーにした)

・目に見える所にシートを置いておき、目に付いた時にどこまで飲んでいるかの確認をする

飲む時間は?

 何時でも大丈夫です。
 自分の生活リズムを考慮して、最も忘れ無さそうな時間にしましょう。

 朝起きた時に洗面台で飲む人もいれば、夜にごはんと一緒に飲む人もいます。
 私は、今現在は毎晩10時を定時にし、夫のアラームが10時30分になっています。
 丁度仕事から帰ってきてごはんの時間くらいですね。

 今まで見てきた感じでは、夜派の人が多そうかな?

飲む方法?

 お水でもお酒でもお茶でも飲んでいいし、飲めるならお水無しで飲んでも大丈夫です。
 お水無しで飲んだ時に喉に引っ掛かったような感覚が残ることがありますが、錠剤はゆっくり胃に向かいますししばらく引っ掛かった感覚が残っているだけなので大抵は大丈夫ですが、気になるならやはりお水を飲んでおきましょう。

 ただしセントジョーンズワートティー(セイヨウオトギリソウ)はやめましょう。ピルの吸収を阻害する可能性があります。

 ちなみに私は過去に、唾液だけで飲んだつもりになって一時間後コホンとムセたらピルが出てきたことがあります。

一緒に飲んではいけないもの

 ほぼすべての市販薬(飲み薬塗り薬目薬も含めて)は、一緒に使っても問題ありません。

 例外は、肝班治療薬の市販名「トランシーノ」。血栓症のリスクを上げます。

 サプリメントのうち「セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)」のお茶、類する錠剤については吸収を妨げる可能性があるので、気を付けて下さい。

 また豊胸サプリの中にはダメなものがあるようです。

 

 処方薬(病院に行って貰える薬)については要注意です。
 いくつかの処方薬で吸収を妨げたり、強めたりする可能性があります。

 一般的に処方される可能性が高いものでは、「ペニシリン系」「テトラサイクリン系」抗生物質をよく見掛けると思いますので注意して下さい。抗生物質については代替のものがありますので、医師にこの2系統以外でと伝えれば大丈夫です。

 それ以外にもてんかんのお薬、精神科神経内科等のお薬等、多数気を付けるべきものがあります。

 参考:旧版ピルとのつきあい方・薬物相互作用ページ

飲んだ後に嘔吐や下痢をしてしまったら…

 口から飲む薬なので、消化されないと効果が得られません。
 だいたい2時間から4時間くらいで消化が完了し、その後小腸で吸収されていきます。

 ですので、服用後4時間以内に嘔吐してしまった場合にはその後の対応を考えなければなりません。(実際には2~3時間見れば大丈夫かと思いますが、吐しゃ物の量で判断するのも手かな?)

 下痢も同様ですが、一回二回のまま軟便程度が出た位なら問題ありません。
 しかし柔らかい、液体に近いのが長時間続く、複数日にまたがるとか、固形物が何も出なくなったくらいの食中毒レベルの時には特に注意してください。
 これ大丈夫かな……?と心配な場合には念には念を入れて警戒して、追加服用するのがいいでしょう。

 その場合には、12時間以内に収まる感じなら、12時間ラインまで様子を見て追加服用。
 そうでない場合には落ち着いた時に服用し、2週間の他避妊法併用が一番安全でしょう。

飲み忘れた時の対応

 人間は必ずエラーを発生させる生物なので、絶対に飲み忘れない人はいません。
 しかし、できるだけ誠実で確実な飲み忘れ対応をすることで、可能な限り妊娠の可能性を低くすることができます。

 飲み忘れたからといって、すぐに妊娠のリスクに晒されるわけではありません。そのレベルについては状況により変わってきます。

 ここは「飲み忘れたらこうする」というパターンで覚えるのではなく、どういうメカニズムでそのような対応をするのかをよく理解しておく方が、万が一イレギュラーな飲み忘れをした時にも落ち着いて対応ができます。

基本的な考え方

 ピルには、世界が培った3つの基本ルールがあります。これをちゃんと理解することで、妊娠のリスクを回避できる可能性が高まります。

 まずはこの3つのルールを理解しましょう。それ以降の飲み忘れ例については、最初は細かく読み込む必要はあまりありません。
 大丈夫です、難しくありません。一度理解すればパズルのような簡単さです。

 ただし、ヤーズ(とヤーズフレックス)については休薬期間が4日となっています。ゆえに7日間ルールを脱しています。

 ヤーズに関しては
休薬7日をすべて4日と読み替える (重要)
・14日ルールに関しては同一の扱いで
・12時間ルールに関してはそのまま適用

 という考えで運用して下さい。
 また、超低用量のせいか服用時間ズレにより不正出血を経験される方が散見されます。他のピルでも同じことが言えますが、時間のズレはできるだけ少ない方が望ましいでしょう。

12時間ルール

 低用量ピルは、毎日定刻に飲むようにしますが、どうしても忘れてしまうことがあります。その場合の許容時間は、12時間になっています。

 忘れた時間が12時間以内ならセーフで、そのままその日から再度、定刻服用です。
 一日に二錠飲むことになるかもしれませんが、大丈夫です。

12時間と5分だけ過ぎちゃった場合?

 たった5分くらい平気……と思ってしまいがちですが、そこはあくまで12時間の許容時間とシビアに判断しましょう。ピルは「頭で飲む薬」なのですから。

14日ルール

 14日間14錠の実薬を連続服用することで、卵巣を完全に眠らせることが出来ます
 (実際には寝てないと思いますけども、卵巣さん的には活動しなくてもよくなるからぼんやりしてるような感じかな?)

 正確には、排卵を抑止できる最低日数が7日(半眠)、更に完全に抑え込む日数に7日、合計14日が必要ということです。

 ただし、一番最初の服用開始は生理開始から7日以内にしないと、卵胞が育ってしまい低用量では抑え込むことができなくなります。
 理由がない限りは月経初日に飲まれるのがいいでしょう。
 また、ヤーズは超低用量で抑える力が弱い為、必ず初日から飲みます

 「7日でいい」としている説明も散見します、実際に7日で卵巣を半分眠らせることができますので、必ず間違いとは言えません。
 しかし当ブログでは、信頼している「ピルとのつきあい方」のrurikoさんの方針に従い、念を入れての「14日ルール」にしています。

7日ルール

 14日ルールで完全に眠った卵巣は、実薬の服用を止めた場合、8日程度で目覚め始めます(半眠付近に戻る)。
 ですので、休薬期間を7日にし、8日目には実薬を再開するようになっています。
 半眠を維持し、卵胞の発育が始まっていない所から次の服用を始めるので、避妊効果は持続します。

 この休薬期間のおよそ3日目頃に、月経…というか消退出血が起きます。
 ピルユーザーにとっての月経は普通の月経とは違い、排卵が伴わない月経なのでそう呼びます。

 これは意図的なホルモン値の降下により「内膜を抑えておく力」が減少し結果内膜の剥離が起きる為であり、逆に「14日前後内膜を抑えた後、意図的にホルモン値を下げれば内膜の剥離が起こせる」とも言えます。

 休薬期間は7日を超える場合には問題が出ますが、7日以下の場合には何も問題はないという事になります。ただし、短か過ぎると消退出血が起きない場合があります。

次のシートの開始から7日目は、最初のシートの7日目より深く眠っている可能性がありますが、あくまで半眠とみなします

12時間を超え、24時間以内の飲み忘れの場合

 問題なのは12時間ルールの12時間を超えてしまった場合です。
 気付いた時にすぐに忘れていた錠剤を飲み、次の定刻では予定通りの錠剤を飲みます

 24時間間隔で服用することで一定値をキープしているものが、24時間+12時間=36時間を超えてしまった場合には、血中ホルモン濃度が超過時間分最低ラインより下がってしまい、すり抜けての排卵が起きる可能性が出ます。

 この場合、飲み忘れ以前のセックスによる妊娠の可能性はほとんどありません。ただし「新しいシートの最初の一錠」の場合には少し妊娠リスクが上がります(休薬が8日近くになってしまう)。

 飲み忘れ以降のセックスによる妊娠の可能性は上がりますので、飲み忘れ以降は必ず2週間(もしくは消退出血があるまで)の他避妊法併用で過ごします。

 15錠目以降に飲み忘れをした場合には、14日ルールに基づけば「忘れた日から休薬とみなして新しいシートに切り替える」という手を取ることができます。忘れた日から休薬扱いにする時は、避妊効果は継続します。
 その場合シートに錠剤が残ってしまう、曜日が極端にズレてしまうという問題が起きますが、残りは別の機会の飲み忘れ等に使用することができますので取っておきましょう。

 どちらにしても「15錠目以降の飲み忘れ」は、14日ルールに基づくと14日以上連続服用の「完眠の状態」である為、その後7日以内の休薬で確実に飲み継げれば妊娠の可能性はありません。

24時間を超える飲み忘れ

 24時間以上の飲み忘れの場合、血中濃度は大きく下がってしまい、状況によっては妊娠の可能性が高くなります。

 この場合、何錠目かで状況が変わります。

1~7錠目を飲み忘れた場合(24時間超48時間以内)

  1週目(1~7錠)の飲み忘れの場合、まだ浅い半眠状態にあるので、とてもリスクが高いです。その為、もしそれ以前にセックスをしていれば、場合によって緊急避妊も考慮します
 例えば「中出ししていた」「飲み忘れが1錠目」「24時間をちょっと過ぎたどころかものすごく過ぎている」というような状況であれば、緊急避妊を選択する方が良いでしょう。できるだけ「念の為」の道を選びましょう。

 →日本で選択できる避妊方法 (5) 緊急避妊のこと

 そうでない場合は、基本的に服用継続を考えます。

 しかし24時間を超えると血中濃度がとても低くなってしまい、このままの定期服用分のみではフォロー仕切れません。ですので「二日間・一日に二錠ずつ服用することで一気に血中濃度を上げる」対応をします。
 その為には錠数が足りませんので、そのシートの21錠目を持ってきて使います。一日分減ってしまいますが仕方ありません。

 以後は定時に規定の錠剤を飲んで行きます。
 ただし「21錠目がなくなっている」ので、シートの印通りに休薬を取ると8日になってしまいます。その為一日早く新シートを始めないといけませんので曜日がズレることに注意して下さい
 もし予備があれば調整は可能です。

 また、飲み忘れ以降は必ず2週間の他避妊法併用で過ごします。

8~14錠目を飲み忘れた場合(24時間超48時間以内)

 7~13錠飲んでいる場合も、それ以前よりは低いと思いますが完眠ラインに達しているわけではないのでまだ絶対に安全とは言えません。
 ですが、1~6錠しか飲めていない時よりは、リスクは低いと考えることができます。

 実際の対応としては、1~7錠目と同じく「二日間・一日に二錠ずつ服用することで一気に血中濃度を上げる」対応をします。
 その為には錠数が足りませんので、そのシートの21錠目を持ってきて使います。一日分減ってしまいますが仕方ありません。

錠数目が違うだけで対応は1~7錠の時と同じです

 以後は定時に規定の錠剤を飲んで行きます。
 ただし「21錠目がなくなっている」ので、シートの印通りに休薬を取ると8日になってしまいます。その為一日早く新シートを始めないといけませんので曜日がズレることに注意して下さい
 もし予備があれば調整は可能です。

 また、飲み忘れ以降は必ず2週間(または消退出血が来るまで)の他避妊法併用で過ごします。

15~21錠目を飲み忘れた場合(24時間超48時間以内)

 15錠目~21錠目を飲み忘れた場合には、妊娠リスクは高くなりません。避妊効果は持続されます。
 14日ルールに基づけば、14日以上飲んだ後の飲み忘れになるので、実質「休薬中」と見なせる為です。

 この場合には、すぐに新しいシートを飲み始めるか、もしくは忘れた日から休薬期間をカウントし7日間休んで次のシートを始めても良いのですが、その場合消退出血が起きない可能性もあります。
 1~7錠の余りが出るかと思いますが、これは予備として置いておいて下さい。いつかきっと使える日が来るかと思います。

48時間を超える飲み忘れ

 飲んでいなかった錠剤が2錠、その時間に飲むべき錠剤が1錠の、飲むべき錠剤合わせて3錠が手元にあるあるような飲み忘れです。

 この場合、14錠目までであればとてもリスクが高くなります。それ以前にセックスしていれば、緊急避妊も検討します
 15錠目以降の場合には、14錠以上きちんと飲めていれば14日ルールにより妊娠の可能性はありませんので、飲み忘れ以降を休薬扱いにしましょう。

 1~14錠目の飲み忘れの場合には、24時間以上の飲み忘れと同じく「二日間に2錠ずつ飲む」対応にします。飲むべき錠剤が3錠ある為、うち2錠を気付いた時に、残り1錠を次の日の朝、そして次の定刻で予定通りの錠剤を飲みます。
 以降2週間は他避妊法併用をして下さい。

ルールがわかれば対応が楽になる

 ピルとのつきあい方:飲み忘れに気付いた時細心版

 チャートになっていますが、これを判断する流れは基本的に「14日ルール」「7日間ルール」「12時間ルール」に従ったものです。
 ですのでこれらを理解していれば、チャートを見ずとも判断ができるようになります。

 ただし、「そのシートのうちで複数回飲み忘れがあった場合」には注意する必要があります。ただ単純に「何錠目の飲み忘れ」だけで判断するのは危険だからです。

 例えば……

 1回目が12時間以上の飲み忘れ、2回目の飲み忘れが24時間以上の飲み忘れの場合

16日目の錠剤になるけど連続服用ができていないのでノーカン

 1回目の飲み忘れの時点から2週間の他避妊法併用を考えます。20錠目の所まで併用ですね。
 ただし、再度飲み忘れてしまいました。16錠目でした。しかも24時間を過ぎて25時間後に気付きました。

 この場合、16錠目の飲み忘れとしては判断できません。なぜなら、連続服用の日数は1回目の飲み忘れの時からのカウントになるので、10錠だけになってしまいますから、14日ルールは満たせない為、妊娠リスクは上がります。

 その為、24時間以上の飲み忘れ対応である「二日間2錠ずつ飲む」対応をし、かつ消退出血が来るまでは他避妊法併用をします。

慣れてくれば柔軟に対応できる

 いかがでしたでしょうか。
 実際に飲み始めてみて、そして飲み忘れをしてみないことには、いまいちピンと来ないかもわかりませんね。

 でも大丈夫です、3つの基本ルールと、そして「今の血中濃度」「卵巣の眠りの加減」のふたつのポイントを感覚的にでも押さえることができれば、飲み忘れた時の判断が少し楽になりますよ。

おまけ:調整や連続服用、月経飛びについて

 ルールが理解できれば、生理日の調整もできるようになります。
 服用錠数を21錠以上にすることで、内膜を押さえ続け消退出血を遅らせることができます。ちゃんと飲めていれば避妊効果も続きます。

 逆に14錠以上飲み、早めに休薬に切り替えることで消退出血を早く来させることもできます。
 もしくはあらかじめ前シートの休薬期間を7日より短くすることで調整もできます。

 2相性以上のピルの場合はホルモン量を変動させている為、色によって量が違います。
 その場合、用量のより多くなっている錠剤を延長に使った方が成功します。

 

 「ヤーズフレックス」は、休薬なしの連続服用を目的とした超低用量になります。
 公式には120日連続服用が可能とのこと。
 休薬を取らずに飲み、月経回数を減らすことが目的です。主に治療の為ですね。
 成分的にはヤーズと全く同じです。

 実際には、同じような事は1相性のマーベロンなどでもできます。
 残念ながら2相性、3相性ピルではホルモン量が変動するので、内膜維持が不安定になります。連続服用そのもので避妊効果が無くなるとかいうことはありませんが、不正出血が起きるでしょう。

 連続服用するピルは存在するので、それそのものはさしてイレギュラーなことではないのですが、中には「生理が来ないと不安」という方もいらっしゃいます。
 ピルは飲めば飲むほど内膜が薄くなっていく傾向にあり、中には休薬を取っても消退出血が来ないという方もいらっしゃいます。とても薄くなっている為内膜の剥離が起きないのです。(それ自体は何も問題ありません)

 長く飲んでいれば経血量が減るので「消退出血が来ることそのものが大した問題ではない」ようになっていきます。その為、生理日調整自体があまり要らなくなる可能性が高いです。
 実際、低用量混合ピルを飲んでいた頃の私の経血量は本当に少なく、必要量で言うならレギュラータイプの生理用品ひとつで3日目まで過ごせるんじゃないかという程です。(実際には衛生面の問題で替えますが…)

21/02/03 ヤーズについての記述を調整しました

第一回「日本で選択できる避妊方法 (1)
次回「日本で選択できる避妊方法 (4) ミニピルのこと

参考:色々なピルを紹介していくよ (1)
個人輸入ができる低用量ピルを紹介しています


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