日本で選択できる避妊方法 (6) 色んなコトのウソホント

書いた人: 妻

第一回 「日本で選択できる避妊方法 (1)
前回 「日本で選択できる避妊方法 (5) 緊急避妊のこと

 

 こんばんは、最近は幻想即興曲練習を再開しています、瑞谷です(超必死)
 そろそろ手がツリそうです。特に19小節目くらいからの右手が死にそうです。

 大変大雑把に避妊法についてを紹介してきました。
 今日はまとめとして、ピルについての分類の整理と、昔はこんなことも言われていた!という避妊にまつわる雑談などを楽しく書いていきたいと思います。

これまでに見てきた「ピル」の分類

「ピル」とはそもそも経口タイプの避妊薬の総称です。日本でも海外でもピルと呼びます。

ピル 混合 超低用量
低用量
中用量
単剤 黄体ホルモン(ミニピル)
緊急避妊 ヤッペ法(混合ピルの転用)
ノルレボ(レボノルゲストレル単剤)

 「日本で選択できる避妊方法(2)」でも書きましたが、国内で認可されているものの中で、唯一「ルナベルULD」に関してだけは確実な避妊効果があるかどうかわかららないのです。他の治療用として認可されているルナベル、ヤーズは元々避妊薬として作られたのでホルモン量を満たしますが、ルナベルULDだけは例外。そもそも避妊効果の確認がされていない用量です。

 例え「避妊できるよ」と処方をされても、効果がわからないか、相当妊娠しにくくなる程度のものと思って下さい。

「種類」や「目的」「用途」を混同してはいけない 

「ピルの副作用」について語られる時、また「緊急避妊のしんどさ」について語られる時は、大抵「中用量」だったり「ヤッペ法」だったりします。

 総合感冒薬や解熱鎮痛剤あたりを一緒くたに「熱冷まし」と捉えたり、飛躍すれば「プレイステーション」も「DS」も「Xbox」も「ファミコン」と言ってしまったりするような乱暴さで、すべてのピルを「ピルは副作用の強いロクでもないもの」という情報に紐付け、そこからアップデートしない人が存在します。

 中には物知らずにそれを言う女性もいて、とにかく「ピルを飲んでしんどい思いをしながらセックスがしたいとかヤリマン」という観念が一部には根強く存在し、時に同じ女性さえも傷つけます。

 しかしそういう人達は結局、ちゃんとした情報を自分で知り学び考えようとしない人ばかりで、どうにも「ピルという薬はそうであってほしい」「すべては男性がちゃんとしないのが悪い」というような世界にしたいようです。

 もちろん低用量ピル、ノルレボにも副作用はあります。どうしても合わない方もいらっしゃいます。すべての方に「大丈夫だよ! 良いものだから飲めばいいよ!」と副作用の説明なく勧めることは、正しさでもなんでもありません。

 また低用量ピルが原因での死亡例も存在します。特に近年の日本では異例な数発生しました。
 しかしその大半は不適切な処方(年齢が高過ぎる)、服用指導の不足、医師側の情報の不足だと思います。

(余談ですが日本での“ピルの第一人者” Dr.北村のJFPAクリニックサイトには「40歳を超えた女性でも禁忌がなければ大丈夫」と今も書いてあります)

どうか続けられる環境に……

 今の日本のピル使用率は、女性全体の3%に過ぎないと言われています。
 これは普及が始まった頃からほとんど変わっていません。

 なぜか?
 ひとつは「ピルが高過ぎて続けられない」という問題があります。
 月3000円弱、よほど安い所でようやっと1500円程(ただし極稀)を毎月避妊と月経痛月経量緩和に支払って行く事は、そんなに簡単ではないということです。

 そもそも、低用量混合ピルは「若い人向けの避妊法」であり、「若い人ほど血栓症リスクは低い」にも関わらず、「若い子が出すには高過ぎる価格設定」であることが、日本での低用量ピル普及を妨げていると言っても過言ではありません。

(若者はセックスなんてしてはいけない……という観念がとても強いこともありますが)

 もうひとつは「手間や時間が掛かり過ぎる」という問題です。
 例え月1500円でも、毎月あるいは数ヶ月に一回通わなければいけないとなれば、忙しい人にとっては継続がとても難しいです。中には本当に「一回に1シートしか処方しない」という病院が存在します。

 理解ある病院で6シート、ここまでになるとやっと「このくらいならいいか」というレベルだと私は思っています。

 

 海外では? ヨーロッパでは1年分が処方される事が多いようです。
 そしてその代わりちゃんと「血栓の予兆などについて細やかに説明され、相談ができる窓口が別途ある」のです。処方や相談の何もかもすべてに「産婦人科の先生」が必要なわけではないのです。なので長い待ち時間さえない場合もあるでしょうね。

 しかし少なくとも私は、日本での処方で「血栓症についての細やかな説明」をされた記憶はありません。何の為の「医師からの直接処方」なのでしょうか。

避妊ウソ・ホント?

 昔々は「事後にコーラで膣内を洗うと妊娠しない」だとか、「終わった後立っている方が妊娠しにくい」だとか、一応君ら知的生命体だよね……というツッコミを入れたくなるような噂話猥談ネタレベルの話が「情報」として横行していました。

 いえ、バカにしてはいけません。だって、当人達にとっては真剣に死活問題であり、昔の日本は今にも増して保守的だったので、藁にもすがる思いでそれを実行した人がきっといたでしょう。

 同じくらいの年の方たちがそんな風に悩んでいたと思えば、なかなか笑う気にもなれません。

ピルを飲んでいると妊娠状態になる?

 実際には「排卵後・妊娠中に分泌されるホルモンを一定量維持して次の排卵指示に至らないようにする」です。
 よく「妊娠中のホルモンバランスにする」という説明を見掛けますが、実際のホルモン分泌量としては排卵後の値に近い為、より正確に言うと「排卵後に似た状態にする」ということになります。

ピルを飲む人はセックスが好き? ヤリマン?

 好きな人もいれば嫌いな人もいます。同じようにヤリマンな人もいればそうでない人もいます。自分の身体にまつわることを、自分で選択したいから自分でピルを飲む、当たり前のことです。
 それに、誰かがピルを飲んでいてセックスが好きであろうと、それは誰にも関係がないことです。身近にヤリマンがいると聞いて「自分もヤラせてもらえるかも」と思う人間ほど気持ち悪いものはないと思いませんか?

 そもそも、なぜ「ヤリマン」が非難されるのでしょうか。

色んな人とセックスしまくれば精子が混ざって妊娠しづらい

  あるあ……ねーよwww

昔々の伝聞

 ちょっとピルを知っていた(気になっていた)昔のおじ様おば様の中には、「ピルを継続して服用すると妊娠しにくくなったりと色々問題が出るから時々休んだ方が良い」という、通称「ピル抜き」とか言われる期間を取らなければならないと思っていた人がいたようです。

 この根拠というか由来は、どうやら昔の風俗嬢の連続服用後の消退出血待ちか、あるいは本当に休止(という名目のお仕事の長期休暇)という所からのようです。

 実際はというと、ピルそのものはとても身体から抜けやすい薬なので、休止のようなものは必要ありません。そもそもそんなに抜けにくければ、低用量で24時間ごとの服用になんてなっていないでしょう。

 飲んでいない方にはあまりピンとこないかもしれませんが、実際には低用量は薬剤を飲まない期間が月に7日あります。
 もちろん実薬の連続服用も可能です。その場合、避妊効果は持続します。
 稀に、月経(消退出血)をあまり起こしたくないという方にそのような服用をされているケースがあります。

 ちなみに、本当にそれを信じて「飲んだり飲まなかったり」を繰り返すと、どうなるでしょうか。
 ピルは飲み始めが最も血栓症の発生リスクが高くなり、飲み続けることで一定の所まで低下していきます。

 何度も何度も「飲み始め」を繰り返すことが、どれほど無知でリスキーな事かおわかり頂けるかと思います。

女性が、カップルが、それぞれ「選択」できるように

 日本はまだまだ「できた環境」とは言えません。
 でも、自分で選んで避妊をする、二人で相談して何を選ぶか決める、それができる土壌はできつつあります。

 これを毎日飲めばいいと言われたから、ただ言われたとおりに飲む。
 そうではなく、どういう機序で避妊ができるのか。副作用について、服用のリスク。どうして自分はこれを選びたいのか。漠然とでもいいです、自分で知り、考え、選ぶ自分になることが、主体性の第一歩になると思っています。

 

 ちゃんと知れば、学べば、得体の知れない怖いものからは脱することができます。
 それを有意だと、自分に必要だと思うかどうかはそれぞれの判断の問題です。

 もっと選べる日本に、選べる女性に皆がなれるよう願っています。

 

スペシャルサンクス:rurikoさん
参考リンク: 「ピルとのつきあい方

 

第一回 「日本で選択できる避妊方法 (1)
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